Sil-Q スポイラー English
                    Sil-Q  マ ニ ュ ア ル   (日本語版)

        「エルフの歌がなお世に鳴りわたり、ドワーフの鎖帷子が輝いていた
          中つ国の第一紀。アングバンドの暗き広間を歩き、黒く恐ろしき者
          どもを討ち、モルゴスの鉄の王冠から輝くシルマリルを一つ、
          もぎ取ってくるがよい。」

     読み方 ―――――――――――――――――――――――――――――
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目次

0 このマニュアルについて

このマニュアルは Sil-Q の規則を日本語で説明したものである。技を選ぶ、罠を避ける、歌を歌う、鍛冶場で打つ――遊ぶのに要ることは、ひととおりここに書いてある。

ここに書いてある数は、いま遊んでいるこの版のものである。 古い版の説明書と数が違うところがいくつかあり、そこは §17 に並べてある。

読む順は上から順でよいが、急ぐなら §2 だけ読んで潜ってしまってよい。判らなくなったらここへ戻ってくればよい――このマニュアルはいつでも ? を押してから m で開ける。頁は左右で送り、ESC で閉じる。

1 Sil-Q という遊び

1.1 何をする遊びか

あなたはエルフか、ドワーフか、人間として、モルゴスの砦アングバンドに忍び込む。地下千 ft まで降り、玉座の間にモルゴスを見つけ、その鉄の王冠からシルマリルを一つ奪って生きて戻る

これは「モルゴスを倒す遊び」ではない。倒す必要はないし、倒そうとするのは筋が悪い。奪って、逃げる。それが勝ちである。

どうやって入り込んだのかは語られない(変装か、謀か、それとも囚われたのか)。ただ代償は高くついた――あなたは武器を持っていない。わずかな食料と灯りだけを抱えて、坑道のいちばん浅いところに立っている。最初の仕事は武器を見つけることである。

1.2 ローグライクの作法

Sil-Q はローグライクと呼ばれる系譜に属する。要点は三つ。

字だけで描かれるのは、絵が無いからではなく、絵より読み取れるものが多いからである。# は壁、. は床、@ はあなた、大文字と小文字の英字はそれぞれ一種類の敵を表す。記号の一覧は ? の二枚目にある。

1.3 変愚蛮怒から来た人へ

同じ画面まわりを持っているが、中身はほとんど別物である。特に次の点に気をつけること。

2 最初の 30 分

初めてなら、種族はノルドール、家はフィンゴルフィンの家を選ぶとよい。いちばん易しい。種族は難易度そのものだと思ってよい(§4.1)。

能力値の 13 点は、迷ったら腕力 1・敏捷 3・耐久 2・恩寵 0 あたりに置く。技能は打撃と回避を厚くしておけば、しばらくは死なない。

潜ったら、次の順に手を打つ。

Tab で技能と能力の画が開く。経験点が貯まったらここで使う。何を買えばよいか判らないうちは、技能に直接積んでおけばよい(能力より安く、無駄になりにくい)。

3 アングバンドの坑道

3.1 階段と深さ

サンゴロドリムの下、地下深くにアングバンドの坑道が広がっている。とりとめもなく広く、いったん通り過ぎた場所へ戻る道はまず見つからない。

階段は上下 50 ft を繋ぐ。ときおり竪坑があり、そちらは一気に 100 ft 落ちる。深いところほど、モルゴスの手下の中でも大物が出る。

深さは画面の右下に 550 ft のように出る。その下の min 550 ft は「もうこれより浅くは行けない」という線である(次節)。

3.2 引き返せない

モルゴスの闇の力は、アングバンドに入ってきたものを残らず自分のほうへ引き寄せる。抗えるのは束の間で、時が経つにつれて浅い階への道が見つからなくなる。人物表と画面右下の min ... ft の欄がその線を示す。

地上へ戻れるのは、シルマリルを手にしたときだけである。

この決まりがあるおかげで、浅い階でこつこつ力を蓄えるという遊び方はできない。玉座の間に立てるだけの力を間に合わせるには、危険も実入りも大きい深みへ、さっさと降りていくしかない。

なお、短い間に階段を何度も使うと道を見失いやすくなり、思わぬ方向へ出たり、うっかり罠を踏んだりする。

4 種族と家

4.1 種族

Sil-Q の種族は互いに釣り合っていない。釣り合わせていないのは意図してのことで、種族はそのまま難易度として働く。

  種族        腕力 敏捷 耐久 恩寵  素質・心得            難度
  -----------------------------------------------------------------
  ノルドール    0   +1   +2   +2   弓の心得/歌唱の素質   易しい
  シンダール   -1   +1   +2   +1   弓の心得/歌唱の素質   やや難
  ナウグリム    0   -1   +3   +1   斧の心得/鍛冶の素質   やや難
                                   射撃が苦手
  エダイン      0    0    0    0   (何も無い)           難しい

初めてならノルドールを選ぶ。ナウグリムとシンダールはひと癖あるが面白い。エダインは腕試しだと思ってよい。

4.2 家

種族の中では、家はおおむね同じ強さに作られている。選べる家は種族で決まる。

  家                      腕力 敏捷 耐久 恩寵   素質
  ------------------------------------------------------------
  ノルドール
    フェアノールの家        0   +1    0    0    鍛冶
    フィンゴルフィンの家    0    0   +1    0    意志
    フィナルフィンの家      0    0    0   +1    知覚
  シンダール
    ドリアスの者            0    0    0   +1    歌唱(種族と重なり熟達)
    ファラスリム            0   +1    0    0    射撃(種族の不得手を相殺)
  ナウグリム
    ノグロドの家            0   +1    0    0    鍛冶(種族と重なり熟達)
    ベレゴストの家         +1    0    0    0    意志
  エダイン
    ベオルの家              0    0    0   +1    回避
    ハレスの家              0   +1    0    0    隠密
    ハドルの家             +1    0    0    0    打撃

種族と家の素質が同じ技能に重なると、熟達になる(下)。ドリアスの者の歌唱と、ノグロドの家の鍛冶がそれである。

4.3 素質・苦手・心得

  素質 (affinity)    技能値 +1、その技能に繋がる能力が 500 点安い
                     =最初の一つが只になる
  熟達 (mastery)     素質が二重に掛かった状態。技能値 +2、
                     能力は 1000 点安い(最初の一つはやはり只)
  苦手 (penalty)     技能値 -1、能力は 500 点高い
  心得 (proficiency) 特定の武器を持っているあいだ打撃 +1
                     エルフは弓、ドワーフは斧

5 能力値

能力値は四つで、作成時に 13 点を割り振る。値を 1 上げるごとの費用は三角数――1、3、6、10、15、21 と嵩んでいく。したがって一つを高く積むより、二つを中くらいに置くほうが安い。

能力値を上げる薬は無い。 種族・家の補正と、いくつかの能力(各技能の末端)と、鍛冶で作ったアイテムだけが動かす。だから最初の割り振りは重い。

  腕力 (Str)
    - 打撃のダメージのダイスの面を増やす(ただし武器の重さが上限。§7.4)
    - 弓の射程が伸びる(射程はダメージから決まるため)
    - 持てる重さが 1 点につき 2 割増える(素で 100 lb)
    - 物を 1 点につき 2 割遠くへ投げられる
    - 重い武器を苦もなく振れる
    - 武器を叩き落とされにくくなる/蜘蛛の巣を破りやすくなる
    - 閂の掛かった扉を体当たりで壊しやすくなる

  敏捷 (Dex)
    - 前半四つの技能――打撃・射撃・回避・隠密――に上乗せされる
    - 箱の毒針を避けやすくなる

  耐久 (Con)
    - 生命力が 1 点につき 2 割増える

  恩寵 (Gra)
    - 後半四つの技能――知覚・意志・鍛冶・歌唱――に上乗せされる
    - 声(歌を歌う元手)が 1 点につき 2 割増える

能力値が吸われると、人物表でその欄が黄色くなる。時が経っても戻らない。戻すアイテムを見つけるしかない。

6 技能と判定

6.1 判定の形

Sil-Q のほとんどすべては技能判定で決まる。形はいつも同じである。

      1d10 + こちらの技能値     >     1d10 + 難度

左が右を上回れば成功。同じでは失敗である。どれだけ上回ったかが効くこともある(会心の一撃、歌の効き目、警戒の上がり幅)。

難度は相手の技能であることが多い。殴るなら相手の回避、忍ぶなら相手の知覚が難度になる。相手の居ない判定(罠を見つける、意志で堪える)では、深さなどから決まった数を使う。

戦いの三技能――打撃・射撃・回避――だけは 1d10 ではなく 1d20 を振る。 幅が広いぶん、技能差が同じでも番狂わせが起きやすい。

呪われている間は、あなたの側だけ二度振って悪いほうを採る。じわじわとすべてが狂う。

6.2 8 つの技能

  打撃 (Melee)     殴って当てる。難度=相手の回避
                   十分に上回れば会心の一撃(§7.5)
                   投げた武器を当てるのにも使う
                   モルゴスの王冠からシルマリルをこじり出すのにも使う
                   (難度は 0。ただし途方もないダメージが要る)

  射撃 (Archery)   射て当てる。難度=相手の回避の半分
                   こちらも会心の一撃が出る

  回避 (Evasion)   当てられまいとする。難度=相手の打撃/射撃
                   落し穴から這い出る(難度 15、杭付きは 20)
                   落ちてくる岩を避ける(難度 20)
                   吹き矢の罠を避ける(難度 15)

  隠密 (Stealth)   気づかれないようにする。難度=相手の知覚+補正
                   『暗殺』を持てば、油断・睡眠中の敵への打撃に乗る
                   防具 10 lb ごとに -1
                   隠密行動(`S`)で +5、ただし速さ -1

  知覚 (Perception) 罠と隠し扉を見つける/罠を外す/錠を開ける
                   姿の見えない敵に気づく
                   知覚系の能力の効き目そのものにも効く

  意志 (Will)      効果を撥ね除ける――混乱・朦朧・恐怖・盲目・幻惑・
                   鈍足・幻覚・空腹・能力値吸収・物忘れ
                   難度=相手の意志(相手が居るとき)/10(居ないとき)
                   杖と角笛を使いこなす

  鍛冶 (Smithing)  鍛冶場でアイテムを作る。唯一、さいころを振らない技能である
                   作りたいアイテムの難度が鍛冶の値以下なら、必ず作れる

  歌唱 (Song)      歌の効き目そのもの。歌ごとに乗り方が違う(§14.8)

技能値は「素の値+能力値の補正+得手/不得手+装備と状態」で決まる。画面左の列に出ている数がその合計である。

7 戦闘

7.1 二段構え

一回の攻撃は必ず二段で解かれる。

  一段目  当たったか        こちらの命中判定  vs  相手の回避判定
  二段目  どれだけ通ったか  こちらのダメージ  vs  相手の防護

一段目で外れれば、そこで終わり。当たっても二段目で防護に食い止められれば、ダメージは 0 である。「当たったのに効かない」はこの遊びでは日常であって、不具合ではない。

7.2 武器と防具の数字

アイテムの名の横に並ぶ数字は、この二段のどちらに効くかを表している。読み方は単純である。

  - 攻めの数字は ( ) まる括弧。先に来る。
  - 守りの数字は [ ] 角括弧。後に来る。

たとえば――

  戦斧 (-3,3d4)
      -3   命中が 3 下がる(重くて振り回しにくい)
      3d4  当たれば 3d4 のダメージを出す

  革鎧 [-1,1d4]
      -1   回避が 1 下がる(着ぶくれて狙われやすい)
      1d4  殴られるたび 1d4 だけダメージを吸う

  大剣 (-2,3d5) [+1]
      +1   回避が 1 上がる。大剣で受け流せるという意味である

  鎖帷子 (-1) [-3,2d4]
      -1   重くて命中まで下がる
      -3   そのうえ回避も下がる
      2d4  そのかわり 2d4 を吸う

7.3 当たるか(命中判定)

  命中判定 = 攻め手の打撃値 + 1d20
  回避判定 = 受け手の回避値 + 1d20

命中判定が回避判定を上回れば当たる。技能値には武器・防具のほか、次のものが乗る。

7.4 どれだけ通るか(ダメージ判定)

  ダメージ判定 = 武器のダイス(+腕力・両手持ち・殺戮・会心)
  防護判定     = 身に着けている防具すべての防護ダイスの合計

  通るダメージ = ダメージ判定 - 防護判定  (0 以下なら通らない)

腕力はダイスの「面」を増やす。腕力 3 で 3d4 の戦斧を振れば 3d7 になる。

ただし際限は無い。腕力による面の追加は、武器 1 lb につき 1 面までである。4 lb の戦斧なら、腕力がいくつでも +4 面が上限になる。したがって腕力の高い者は重い武器(上限が高い)とダイス数の多い武器(面の増加が何倍にも効く)を好むことになる。腕力が負なら同じ上限で面が減る。

片手半(hand-and-a-half)の武器は、盾を持っていなければ両手持ちとみなされ、面が +2 される。先の戦斧を両手で構えれば 3d9 になる。

ダイスの「数」が増えるのは二通りである。

敵の攻撃もまったく同じ規則で解かれる。人狼が 2d9 の毒牙で噛みついてきたとき、毒に耐性が無ければ 3d9 を食らう。敵の思い出に書かれている数字より、実際は一段きつい――属性攻撃とはそういうものである。

7.5 会心の一撃

命中判定が回避判定を大きく上回ったとき、ダイスが余分に付く。どれだけ上回れば付くかは武器の重さで決まり、軽い武器ほど出やすい。扱いやすいからである。

  一段ぶんに要る差 = 7 + 武器の重さ(lb)

  例:3 lb の長剣なら 10 差で 1 個、20 差で 2 個、30 差で 3 個…
      0.8 lb の短剣なら 8 差で 1 個、15 差で 2 個、23 差で 3 個…
      7 lb の大剣なら 14 差で 1 個、28 差で 2 個…

無理に思えるかもしれないが、命中を積んだ者は――とりわけ眠っている敵や油断している敵に対しては――とてつもない会心を出す。逆に回避が薄ければ、敵からも同じものを食らう。

この式を覚える必要はない。覚えておくべきは「命中が高く武器が軽ければ、ときどき桁違いに刺さる」ことだけである。

会心に要る差を動かす能力がいくつかある(§14.1)。『剛力』は +1(出にくくなる)、『妙技』は -2、『巧緻』は -2。敵の側にも、会心がまったく通らない者と、通りにくい者(要る差が倍になる)が居る。

7.6 射撃

射撃は打撃とよく似ているが、四つ違う。

隣に敵が居るときに弓を引くのは危ない。構えた隙に、隣接している敵すべてが只で殴ってくる。しかもそのときこちらの回避は半分である。『至近射撃』を取ると、少なくとも狙った当人だけは只の一撃を撃たなくなる。

7.7 投擲

投げるのは打撃に近いが、こちらも違いがある。

  射程 = 持てる重さ ÷ ( 5 × ( アイテムの重さ + 2 lb ) )
                                          (上限 20、下限 1)

  例:100 lb 持てる者が 4 lb の槍を投げるなら
      100 ÷ ( 5 × ( 4 + 2 ) ) = 3.33 → 3 マス

計算しにくいので、投げられるアイテムは x で見れば射程が書いてある。

8 属性と耐性

素の物理攻撃のほかに、四つの属性攻撃がある。

  炎 (Fire)     いちばん多く、いちばん危ない。アングバンドの炎である。
                矢・弓・斧・長柄・鈍器・靴・手甲・外套・革鎧・箱・松明・
                杖を焼く。

  冷気 (Cold)   炎に準じるが、数も脅威も一段下。
                薬と油壺を割る。

  毒 (Poison)   蜘蛛と人狼の得意技。
                その場では減らず、毒の目盛りに積まれる。放っておけば
                いずれ全部食らう。毎ターン、目盛りの 2 割(切り上げ)だけ
                ダメージを受け、そのぶん目盛りが減る。

  闇 (Dark)     モルゴスは暗黒の王であり、その手下は闇そのものを使う。
                闇だけは耐性の仕組みが違う。「闇耐性」というアイテムは無く、
                頼れるのは強い灯りだけである(下)。

8.1 耐性の効き方

耐性は重ねられる。一段でダメージは半分、二段で三分の一、三段で四分の一……と分母が増えていく。逆にもろければ、一段につき倍・三倍と増える。

闇に対する耐性の段は、あなたの居るマスの明るさそのものである。明るさ 1 なら等倍、2 なら半分、3 なら三分の一。灯りを強く保つことが、そのまま闇への備えになる。

8.2 純粋な属性と混じった属性

属性攻撃には二種類ある。

竜などの息は扇形に広がり、1 マス離れるごとにダイスが 2 個減る。息に対しては、ふつうの鎧はまったく役に立たない。数えてもらえるのは能力による特別な防護と、魔法の指輪・首飾り、そして炎と冷気なら盾だけである。その細い防護を抜けたぶんに、§8.1 の割り算が掛かる。

9 士気

Sil-Q の敵は逃げる。心を持たない者(いつでも襲ってくる)を除けば、ほとんどの敵はその場の勝ち目を勘定して、分が悪ければ退く。この勘定が士気である。

9.1 士気の増減

  素の士気                                                   6
  ふだんより深いところに出た                    50 ft ごとに +1
  ふだんより浅いところに出た                    50 ft ごとに -1
  あなたがシルマリルを持って脱出中          (深さの補正の代わりに)+2

  あなたが盲目・幻覚・軽い朦朧                             各 +2
  あなたが混乱・鈍足・恐怖・重い朦朧                       各 +4
  あなたが幻惑・昏倒                                       各 +8
  あなたの生命力が 75% 以下 / 50% 以下 / 25% 以下   +2 / +4 / +8

  その敵が加速している                                       +4
  その敵が朦朧している                                       -2
  その敵の生命力が 75% 以下 / 50% 以下 / 25% 以下   -2 / -4 / -8
  すでに逃げていて、なお 75% 以下                            -2

  見えるところの同類が逃げていない                一体につき +1
                                                (頭目なら +4)
  見えるところの同類が逃げている                  一体につき -1
                                                (頭目なら -4)

  光を嫌う敵で、あなたのマスの明るさが 4 以上   超えた分 1 につき -1
  ユニークでない敵がアイテムを持っている          1 個につき -2
  あなたが『威光』を持っている        (あなたの意志 - 敵の意志)÷2
  あなたが『天敵』を持っている                     天敵の補正のぶん
  敵が『エルフ殺し』を持っている                       そのぶん +

さらに、その場かぎりの上下がある(毎ターン 1 割ずつ薄れる)。

  逃げ場が無い                                               +6
  たったいま逃げるのをやめた                                 +6
  たったいま逃げ出した                                       -6
  自分か同類が殺戮の銘で斬られた                             -2
  自分か同類が、特にもろい属性の刃で斬られた                 -2
  自分か同類が『残酷な一撃』を食らった                       -2
  見えるところで同類が殺された                  -4(頭目なら -16)
  エルベレスの歌                          こちらが勝った差 1 につき -1
  恐慌の角笛・威光の杖                    こちらが勝った差 1 につき -2

9.2 三つの姿勢

士気の高さで姿勢が決まる。姿勢は敵を l で見れば読める。

  攻勢 (Aggress)   士気 > 20
                   ただ襲ってくる。
                   心を持たない者は常に攻勢。
                   トロルは「自信」の代わりに攻勢。
                   怒らせた敵、憤怒のアイテムを持つ者に見られた敵も攻勢。

  自信 (Confident) 0 < 士気 <= 20
                   策を用いる。部屋で待ち伏せる、遠くから射る、など。

  逃走 (Fleeing)   士気 <= 0
                   ひたすら離れようとする。
                   (魔法によらない)恐怖が効かない敵は、逃げずに
                   「自信」に留まる。

まだこちらに気づいていない敵(眠り・油断)は、士気がどうであれ「自信」として振る舞う。

士気を読むのは戦術そのものである。相手の生命力を削れば士気は落ちる。同類を一体、見せしめに斬れば、周りの士気がまとめて落ちる。逆に、こちらが傷ついていることは相手に伝わる――手負いのまま押すのは、相手を強気にさせているのと同じである(『不屈』はこの伝わり方を断ち切る)。

10 隠密

Sil の下敷きになった物語では、ベレンとルーシエンは確かにアングバンドへ入り、シルマリルを得て、逃れた。力ずくではなく、忍びによってである。Sil-Q でも同じことができる。斬らずに勝てる。

10.1 三つの段

敵はいつでも次の三つのどれかに居る。

  眠り (asleep)   動けない。回避は -5 に固定される。
  油断 (unwary)   起きて自分の用を足しているが、あなたに気づいていない。
                  回避は半分になる。
  警戒 (alert)    気づかれた。ここから先は士気の話になる(§9)。

内部では「警戒度」という数で持たれている。

  警戒度 -11 以下   眠り        (下限 -20)
  警戒度 -10 〜 -1  油断
  警戒度  0 以上    警戒        (上限 20)

敵は必ず眠りか油断から始まる。ただし――アングバンドの住人が皆眠るとは限らない。

10.2 気づかれる仕組み

毎ターン、あなたは隠密判定(隠密値 + 1d10)を振る。敵はそれぞれ知覚判定(知覚値 + 1d10)を振る。敵の判定が上回れば、上回った差だけ警戒度が上がる。眠りから油断へ、油断から警戒へと移っていく。

知覚の側に乗るもの・引かれるものは次のとおり。

  距離                    音の通る道を 1 マス辿るごとに -1
                          (石と瓦礫は音を通さない。回り込んだ距離で数える)
  閉じた扉                道の途中の扉 1 枚につき -5
  あなたが攻撃した        +2
  あなたが攻撃された      +2
  すでに警戒している敵    その警戒度のぶん -(上がりすぎを抑える仕掛け)
  あなたが脱出中          +5

さらに、起きていて、あなたが見える敵には次が乗る。

  あなたの周りの通れるマス         1 マスにつき +1(最大 +8)
  + 上の「攻撃した/された」ぶん  さらに +2 / +2
  『変装』を持っていると、この二つの合計が半分になる

要するに、開けたところに立つほど見つかる。壁を背負い、隅に寄り、扉を閉めて歩くこと。

あなたの側に乗るもの。

  隠密行動 (`S`)          +5   ただし速さ -1(待っている間は下がらない)
  前のターンを待った      +7   (`5` / `z`。隠密行動と足し合わせない)
  防具                   10 lb ごとに -1
  歌っている             その歌の「音」のぶん -(§14.8 の一覧)
  静寂の歌               こちらの音が 歌唱値の半分だけ静かになる

判定を通さず、一回きりで鳴る音もある。

  あなたの行い    地震 30/角笛 10〜40/鍛冶 10/扉を打ち破る 5〜10/
                  掘る 5〜10/罠を踏む -10〜20/跳んで着地 -5
  敵の行い        地震 30/矢 5/岩 10/叫び 10/息 10/異界の絶叫 20

隠密はかなり抽象的な数である。高い隠密は「音を立てなかった」のかもしれないし、「影に紛れた」のかもしれないし、「立てた音が坑道のふだんの物音に紛れた」のかもしれない。

なお、あなたが敵を攻撃したとき、あるいは気づいていない敵があなたの居るマスへ入ろうとしたときは、判定なしで即座に気づかれる。

10.3 忘れさせる

一度気づかれた敵も、油断に戻すことができる。条件は厳しい――その敵の視線から外れたうえで、知覚判定に 25 を超える差で勝つこと。超えた差 1 につき警戒度が 1 下がる。

これはそう簡単ではない。ふつうは、かなり離れ、間の扉を閉めて回る必要がある。『消失』を取ると、この 25 が 15 に下がる。

ほかにも油断へ戻す手はある。

11 鍛冶

アングバンドには宝ばかりでなく、モルゴスの旗の下に戦う軍勢を武装させるための大鍛冶場がある。見つけたなら、あなたもそこで武具を――ときには途方もないアイテムを――打つことができる。

11.1 打つのに要るもの

  - まだ資材の残っている鍛冶場に立っていること
  - その種類に応じた能力を持っていること
      武器鍛冶  武器全般(弓・矢・掘る道具を含む)
      防具鍛冶  防具全般(外套・盾を含む)
      宝石細工  指輪・首飾り・角笛・灯り
      付呪      {特別} のアイテム
      技巧      自分の銘のあるアイテム(=アーティファクト)
  - ミスリルが要るアイテムなら、その量を持っていること
  - 鍛冶の技能が、そのアイテムの「難度」以上あること
  - アイテムによっては、自分自身の一部を注ぎ込むこと
      経験点   永久に失われる(技能や能力を与えるアイテムはたいていこれ)
      能力値   一時的に吸われる(戻すアイテムを飲み食いするまで戻らない)

Sil-Q では、素の武器鍛冶・防具鍛冶だけで命中・回避・ダメージ・防護の値を上げられる。かつて要った「技を凝らす能力」(Artistry) は無くなった。代わりに入ったのが『熟練』(Expertise) で、こちらは所要ターンを半分にし、経験点と能力値の代償を帳消しにする

11.2 打つ手間

  所要ターン = 難度 × 10   (最低 10 ターン。『熟練』があれば × 5)

打っている間は音が出る(隠密判定に -10。§10.2)ので、途中で邪魔が入ることがある。中断されても、続きから再開できる。

アイテムの種類によって代償の重さが違う。武器(弓を含む)・盾・胴鎧・兜・首飾りは安く、長衣・笏・冠はさらに安い。

鍛冶場に居なくても、0 で鍛冶の帳面を開けば「もし鍛冶場が見つかったら何を打つか」を先に考えておける。

11.3 鍛冶場の格

  ふつうの鍛冶場   鍛冶に補正なし
  良い鍛冶場       鍛冶 +3
  無比の鍛冶場     鍛冶 +7

アングバンドの鍛冶場の多くは、オークの軍勢に剣と鎖帷子を配るためのものにすぎない。だが中には、ヴァララウカール(バルログ)の斧や、ゴスモグ配下のトロル親衛隊の鎧を打つための炉もある。そういう炉に当たれば、ふだんより上のアイテムが打てる。

鍛冶場には「あと何回使えるか」がある。使い切れば、それきりである。

100 ft・300 ft・500 ft には必ず鍛冶場がある。 鍛冶で身を立てるつもりなら、この三つは外さないこと。

11.4 アーティファクトを打つ

真に優れた鍛冶師は、美しいもの、あるいは恐ろしいものを打つ。『技巧』を持てば、自分だけのアーティファクトを作れる。ふつうのアイテムでは届かないところまで手を伸ばせるうえ、名前を自分で付けられ、しかもほとんど壊れない。

ただしこれは大仕事である。一つ打つのに鍛冶場を三回ぶん使う。 三回とも同じ鍛冶場でなければならない――片方で始めてもう片方で仕上げる、ということはできない。

11.5 力を超えて打つ

『傑作』を取ると、鍛冶の技能を超える難度のアイテムが打てる。超えた 1 点につき鍛冶の技能が 1 減る。この減りは戻らないが、経験点でまた買い直せばよい。

12 一時状態

さまざまな状態が、地図のすぐ下の帯に色つきで出る。多くは時が経てば消える。すぐ消したければ、たいていそのためのアイテムがどこかにある。

12.1 空腹

  満腹   食料 5,000 以上
         8,000 を超えると「これ以上は入らない」旨が出る。
         その状態では食べ物が 50 倍の速さで消化される。
  (表示なし) 2,000 〜 4,999
  空腹   1,000 〜 1,999
  衰弱   1 〜 999
  飢餓   0
         毎ターン 1 のダメージを受け、傷が塞がらなくなる

『不屈』を取ると空腹の進みが三分の一になる。逆に再生のアイテムを身に着けていると三倍の速さで減る。

12.2 負の状態

  盲目 (Blind)      何も見えない。
                    見えない相手への打撃・射撃・回避は半分になる(§7.3)。
  幻覚 (Halluc)     敵もアイテムも別のものに見える。無いものまで見える。
  鈍足 (Slow)       速さが半分になる。
                    持ちすぎでもこうなる。その場合は荷を減らすほかない。
  混乱 (Confused)   向きを思うように選べない。近い向きへ勝手にずれる。
  恐怖 (Afraid)     怖くて攻撃できない。打撃も射撃も投擲も。
  幻惑 (Entranced)  その場に凍りつき、何もできず、回避は -5。
                    敵に一度殴られれば解ける(時が経っても解ける)。
  よろけ (Stun)     朦朧の目盛り 1 〜 50。すべての技能 -2。
  朦朧 (Heavy stun) 目盛り 51 〜 100。すべての技能 -4。
  昏倒 (Knocked out) 目盛り 101 〜 105。動けず、回避は -5。
  毒 X (Poisoned)   これから X のダメージを受ける。
                    毎ターン X の 2 割(切り上げ)を食らい、そのぶん減る。
  出血 X (Bleeding) 毒と同じ扱い。

毒と出血を受けている間は傷がまったく塞がらない。 深手を負って退がるときは、まず毒と血を止めること。止めないかぎり、いくら休んでも一点も戻らない。

能力値が吸われると、人物表のその欄が黄色くなる。時が経っても戻らない。

12.3 耐性と正の状態

装備や食べ物が与える正の状態には、耐性・能力値・灯りの半径・速さなどがある。中でも注意が要るのは再生である。

  再生 (Regeneration)   傷が三倍の速さで塞がり、声も三倍の速さで戻る。
                        そのかわり、塞がっている間は三倍の速さで腹が減る。

13 経験

Sil-Q には職業も経験レベルも無い。それでも、同じ種族の者が皆同じになるわけではない。冒険のあいだに経験点が貯まり、それを @ の画(あるいは Tab)で自分の腕に振り替えていく。この振り分けこそが遊びの背骨である。

13.1 経験の出どころ

最初に 5,000 点持って始まる。以後の出どころは四つ――敵に出会う、敵を斃す、深く降りる、アイテムを見分ける。

  出会う   その種類の敵を初めて見たとき(見ずに斃したときも)
           深さ ÷ 5 点(深さは ft)。
           同じ種類の二体目は 1/2、三体目は 1/3、四体目は 1/4……

  斃す     初めて斃したとき 深さ ÷ 5 点。
           減り方は「出会う」とまったく同じ。
           ユニークは減らない(そもそも一度しか居ない)。
           争わない敵を斬っても 0 点。

  降りる   その深さに初めて達したとき、深さ(ft)と同じ点数。
           竪坑で 100 ft 落ちれば、飛ばした階のぶんも受け取れる。

  見分ける 薬・薬草・指輪・首飾り・角笛・杖・{特別} のアイテム・
           アーティファクトを、その種類として初めて見分けたとき 100 点。

出会うだけで斃すのと同じだけ入る、というのがこの遊びの背骨である。斬らずに済ませる道はいくらでもある――忍び過ぎる、恐れさせて追い払う、こちらが逃げる。斬らない者は経験がいくらか少なくなるが、そのぶん死ににくい。戦いは危ないのである。一度も攻撃せずに勝つこともできる。

13.2 経験の使い方

  技能を 1 点上げる    n 点目に 100 × n 点
                       (1 点目 100、2 点目 200、3 点目 300……)

  能力を 1 つ覚える    その技能で n 個目に 500 × n 点
                       (1 個目 500、2 個目 1000、3 個目 1500……)
                       素質があれば 500 点引き(=1 個目が只)
                       熟達なら 1000 点引き
                       苦手なら 500 点足し

能力には前提となる能力があることが多い。前提を飛ばしたいなら『早学び』(知覚)を取る。

13.3 深さの下限

時が経つにつれて「これより浅くは行けない」線が下がっていく。目安はおよそ 1,200 ターンごとに 50 ft で、しかも今いる場所が下限より深いほど速くなる(1 階ぶん深く潜るごとに 1 割ほど速い)。長く遊ぶほど、この線に追い立てられる。

短い間に階段を使いすぎると、道を見失って思わぬ場所へ出たり、罠を踏んだりする確率が上がる。階段を一つ使うたびに危険が積まれ、時間とともに薄れていく。十回も続けて上り下りすれば、まず無事では済まない。

14 能力

能力は技能ごとに木の形に並んでいる。上から順に、たいていは一つ前を前提とし、その技能が一定の値に達していないと買えない。見出しの右の数字が「その技能がいくつ要るか」である(『早学び』を取れば前提の能力のほうは飛ばせるが、技能の値は要る)。

Tab の画で見られる説明はごく短い。ここではその裏にある数と、どう使うかを書く。

14.1 打撃

剛力 (Power) ―― 打撃 1

妙技 (Finesse) ―― 打撃 2

打ち飛ばし (Knock Back) ―― 打撃 3

長柄の達人 (Polearm Mastery) ―― 打撃 4

突撃 (Charge) ―― 打撃 5

追い討ち (Follow-Through) ―― 打撃 6

串刺し (Impale) ―― 打撃 7

巧緻 (Subtlety) ―― 打撃 8

旋風撃 (Whirlwind Attack) ―― 打撃 9

制圧圏 (Zone of Control) ―― 打撃 10

痛撃 (Smite) ―― 打撃 11

二刀流 (Two Weapon Fighting) ―― 打撃 12

連撃 (Rapid Attack) ―― 打撃 13

腕力 (Strength) ―― 打撃 20

14.2 射撃

敗走狙い (Rout) ―― 射撃 2

矢作り (Fletchery) ―― 射撃 3

至近射撃 (Point Blank Archery) ―― 射撃 4

射抜き (Puncture) ―― 射撃 5

待ち伏せ (Ambush) ―― 射撃 6

万能 (Versatility) ―― 射撃 7

挫きの射 (Crippling Shot) ―― 射撃 8

      20 - ( 40 ÷ ( 会心の段 + 2 ) )

      会心 1 段 →  6.7    2 段 → 10     3 段 → 12
      会心 4 段 → 13.3    5 段 → 14.3   (20 には届かない)

死の矢雨 (Deadly Hail) ―― 射撃 9

敏捷 (Dexterity) ―― 射撃 10

14.3 回避

身かわし (Dodging) ―― 回避 2

盾受け (Blocking) ―― 回避 3

受け流し (Parry) ―― 回避 4

乱戦 (Crowd Fighting) ―― 回避 5

跳躍 (Leaping) ―― 回避 6

疾走 (Sprinting) ―― 回避 7

側面取り (Flanking) ―― 回避 8

重装の心得 (Heavy Armour Use) ―― 回避 9

反撃 (Riposte) ―― 回避 10

統制退却 (Controlled Retreat) ―― 回避 11

敏捷 (Dexterity) ―― 回避 20

14.4 隠密

変装 (Disguise) ―― 隠密 3

暗殺 (Assassination) ―― 隠密 4

残酷な一撃 (Cruel Blow) ―― 隠密 5

位置交換 (Exchange Places) ―― 隠密 6

好機の一撃 (Opportunist) ―― 隠密 7

消失 (Vanish) ―― 隠密 8

敏捷 (Dexterity) ―― 隠密 11

14.5 知覚

早学び (Quick Study) ―― 知覚 1

一点集中 (Focused attack) ―― 知覚 2

鋭敏な感覚 (Keen Senses) ―― 知覚 3

集中 (Concentration) ―― 知覚 4

錬金術 (Alchemy) ―― 知覚 5

天敵 (Bane) ―― 知覚 6

出し抜き (Outwit) ―― 知覚 7

聞き耳 (Listen) ―― 知覚 8

  難度 = 相手の隠密値
          起きているが油断している           -3
          動いた                             -5
          叫んだ、扉を打ち破った            -10
          岩を掘り抜いた                    -15
          こちらが静寂の歌を歌っている  +(歌唱 ÷ 2)
          音の道を 1 マス辿るごとに          +1
          道の途中の閉じた扉 1 枚につき      +5

差は 1d10 + 知覚1d10 + 難度。さいころの差は多くても 9 なので、知覚が難度を 2 以上上回っていないと「見える」までは届かない。

狩人の達人 (Master Hunter) ―― 知覚 9

恩寵 (Grace) ―― 知覚 10

14.6 意志

呪い断ち (Curse Breaking) ―― 意志 1

交感 (Channeling) ―― 意志 2

逆境の力 (Strength in Adversity) ―― 意志 3

威圧 (Formidable) ―― 意志 4

内なる光 (Inner Light) ―― 意志 5

不屈 (Indomitable) ―― 意志 5

誓い (Oath) ―― 意志 6

毒への耐性 (Poison Resistance) ―― 意志 7

復讐 (Vengeance) ―― 意志 8

威光 (Majesty) ―― 意志 9

耐久 (Constitution) ―― 意志 12

14.7 鍛冶

武器鍛冶 (Weaponsmith) ―― 鍛冶 2

防具鍛冶 (Armoursmith) ―― 鍛冶 3

宝石細工 (Jeweller) ―― 鍛冶 4

付呪 (Enchantment) ―― 鍛冶 5

熟練 (Expertise) ―― 鍛冶 6

技巧 (Artifice) ―― 鍛冶 7

傑作 (Masterpiece) ―― 鍛冶 8

恩寵 (Grace) ―― 鍛冶 10

14.8 歌唱

歌は s で歌い始め、同じ指令で止める。歌っているあいだ、毎ターン声を払う。声が尽きれば歌は途切れる。

歌はどれも音を立てる。音の値がそのまま隠密の罰である(§10.2)。静寂の歌だけが 0 で、挑みの歌の 12 が最も大きい。

エルベレスの歌 (Song of Elbereth) ―― 歌唱 1

  難度 = 敵の意志 + 音の道の距離
          知恵の無い敵は事実上効かない
          モルゴスには効かない

挑みの歌 (Song of Challenge) ―― 歌唱 1

  難度 = ( 敵の意志 × 敵の意志 ) ÷ 10 + 音の道の距離

坑道の歌 (Song of Delvings) ―― 歌唱 2

  歌唱値 - こちらからの距離  >  1d6      (及ぶ範囲は 歌唱値 + 10 マス)

解放の歌 (Song of Freedom) ―― 歌唱 2

  難度 = 階の深さ ÷ 2 + 5
          + 音の道の距離
          + 途中の閉じた扉 1 枚につき 5

静寂の歌 (Song of Silence) ―― 歌唱 3

止血の歌 (Song of Staunching) ―― 歌唱 3

敷居の歌 (Song of Thresholds) ―― 歌唱 4

  緑の扉   通り抜けるのに意志 20 相当の判定が要る
  青の扉   意志 25 相当
  紫の扉   意志 30 相当

  どの色になるかは、難度 15 の歌唱判定で決まる
      失敗          → 緑
      成功          → 青
      10 以上の差で成功 → 紫

二本の木の歌 (Song of the Trees) ―― 歌唱 5

殺戮の歌 (Song of Slaying) ―― 歌唱 6

不動の歌 (Song of Staying) ―― 歌唱 7

ローリエンの歌 (Song of Lorien) ―― 歌唱 8

  難度 = 敵の意志 + 5 + 音の道の距離
          眠らない敵には効かない

制圧の歌 (Song of Mastery) ―― 歌唱 10

  こちら = 2d8 + 歌唱値
  相手   = 2d10 + 敵の意志 + 音の道の距離

織り合わせ (Woven Themes) ―― 歌唱 11

恩寵 (Grace) ―― 歌唱 12

15 誓い

『誓い』(意志の能力)を取ると、三つのうち一つを選んで大いなる誓いを立てる。守り通しているあいだ、報いを受け続ける。

  慈悲の誓い (Mercy)
      「人とエルフの血を流さずにアングバンドを去ること」
      破れるとき  人かエルフを攻撃したとき
      報い        恩寵 +1

  沈黙の誓い (Silence)
      「来たときのまま、いかめしく黙してアングバンドを去ること」
      破れるとき  歌を歌ったとき
      報い        腕力 +1

  鉄の誓い (Iron)
      「何者にも怯まず、直ちにモルゴスに立ち向かうこと」
      破れるとき  シルマリルを持たずに階段を上ったとき
      報い        耐久 +2

破りそうになると必ず一度確かめられる。破ればその場で報いが消え、記録に残り、死後の言葉も変わる。一度破った誓いは二度と立て直せない。

見えない敵を斬っても慈悲の誓いは破れない。誓いを立てる前にすでに破ってしまっている条件があれば、その誓いは選べない。

鉄の誓いの報い(耐久 +2)はいちばん大きいが、上りの階段を封じるので退路も消える。

16 Sil から Sil-Q へ

Sil-Q は Sil の分家である。骨組みは同じだが、次のところが変えられている。この節は「Sil を知っている人」のためのもので、初めてなら読み飛ばしてよい。

16.1 何のために変えたか

16.2 主な変更

  種族      エルフは「剣の心得・射撃の素質」から
            「弓の心得・歌唱の素質」に変わった。

  知覚      罠と隠し扉を見つける難度が、距離 1 マスにつき +5 から +2 に。
            光の勘定の不具合も直った(明るいところほど見つけやすい)。

  隠密      浅いところの敵は知覚が下がり、深いところの敵は知覚と意志が
            上がった。潜るほどモルゴスの手下が目を光らせる、という形。

  射撃      至近で射たときの只の一撃で、こちらの回避が半分になる。
            以前より危ない。

  鍛冶      100 ft・300 ft・500 ft に必ず鍛冶場がある。
            Artistry が要らなくなり、素の武器鍛冶・防具鍛冶で値を上げられる。
            代わりに『熟練』が入った。
            値段の付け方が全面的に見直され、防護が安く、回避と命中が高い。

  空腹      「食べ過ぎ」の段が無くなった。満腹の上限を超えても飲み食いは
            できるが、以後は途方もない速さで消化される。

  再生      腹が速く減るのは、実際に傷が塞がっているあいだだけ。
            声の戻りも再生の影響を受ける(Sil のマニュアルに無い)。

  経験      「固定経験」の遊び方が入った。5,000 点ではなく 50,000 点で
            始まる代わりに、以後いっさい経験が入らない。

  士気      仕組みは変わっていない。ただし古い説明書の『威光』の説明は
            誤りである。正しくは「意志の差の半分」だけ士気を下げる。

17 古い説明書と数が違うところ

Sil-Q は版を重ねており、古い版の説明書に載っている数のいくつかは、いまのものと違う。 古い説明書を読む機会があったときのために、違うところを並べておく。このマニュアルの数のほうが、いま遊んでいるものに合っている。

  鍛冶場の保証        古い説明書 100/500/900 ft  →  いま 100/300/500 ft

  アーティファクトの
  見分けの経験点      古い説明書 200 点        →  いま 100 点
                      ({特別} のアイテムも種類ごとに初めて見たとき 100 点)

  闇への耐性          マニュアル「明るさが 2 を超えた分だけ耐性」
                      →  いま「明るさそのものが耐性の段」
                         (明るさ 2 で既に半減)

  息のダメージ減衰    マニュアル「1 マスごとに 2d4 減る」
                      →  いま「1 マスごとにダイスが 2 個減る」

  罠を探す判定        マニュアル「知覚 対 難度」
                      →  いま「知覚 + そのマスの明るさ 対 難度」
                         探す指令(`5`/`z` ではなく探索)は難度 -5 ではなく
                         こちらに +5。届く範囲は 4 マスまで

  純粋な属性の防護    マニュアル「防護を引いてから割る」
                      →  いま「割ってから防護を引く」

  敗走狙い (Rout)     マニュアル「敏捷が 3 高いものとして」
                      →  いま「命中 +5」

  射抜き (Puncture)   マニュアル「3 の固定ダメージ」  →  いま「5」

  逆境の力            マニュアル「50% 以下で +1、25% 以下で +2」
                      →  いま「+1 / +3」(腕力・敏捷・恩寵)

  エルベレスの歌      古い説明書 声 1/3/ターン  →  いま 声 1/ターン

  制圧の歌            マニュアル 声 1/ターン・難度=意志+7
                      →  いま 声 2/ターン
                         判定も別物(2d8+歌唱 対 2d10+意志+距離)

  不動の歌            マニュアル「意志 + 歌唱値」
                      →  いま「意志 + 歌唱値÷2」
                      防護 [2d2] はマニュアルどおり

  無くなった能力      投擲の達人 (Throwing Mastery)/勢い (Momentum)/
                      慎重な射 (Careful Shot)/精密 (Precision)/
                      細部への目 (Eye for Detail)/伝承知り (Lore-Keeper)/
                      伝承の達人 (Lore-Master)/予見 (Forewarned)/
                      明晰 (Clarity)/心が身を制す (Mind Over Body)/
                      頑健 (Hardiness)/会心への耐性 (Critical Resistance)/
                      鋭さの歌/エステの歌/研ぎの歌

  足された能力        出し抜き (Outwit) / 威圧 (Formidable) / 誓い (Oath) /
                      殺戮の歌(Sil のものとは別物)

  古い説明書の誤り    『威光』は「意志 4 点につき -1」ではなく
                      「意志の差の半分」である

  古い説明書に
  載っていないもの    ・呪われている間は、こちらの判定だけ二度振って
                        悪いほうを採る
                      - 毒か出血がある間は、傷がまったく塞がらない
                      - 満腹の上限(食料 8,000)を超えると消化が 50 倍
                      - 階段を続けて使うと踏み外す。危険は使うたびに
                        積まれ、時とともに薄れる
                      - 深さの下限は約 1,200 ターンで 50 ft 下がり、
                        下限より深く潜っているほど速まる
                      - 『天敵』の上乗せは敵の知覚と士気にも効く
                      - 敵にも『エルフ殺し』があり、こちらの判定を鈍らせ
                        敵の士気を上げる

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